嘉久正窯の技解説=当代・里見寿隆

嘉久正窯で
大切にしてきたこと、
細い線で描く、
淡い濃(だ)みの絵付け

嘉久正窯は、染付磁器を制作しています。祖父の代からよく描かれているのは、牡丹唐草と花鳥、そして人物画です。細い線はリズムよく描くのではなく、絵を描くように丹念に一枚一枚手がけます。

私は京都で修業をしてきましたから、お客さまから「他の産地よりも細いし、みかわち焼としても細い線ですね」と言われて、そのときに初めてみかわち焼と嘉久正窯の特徴に気がつきました。当たり前のように描いていた線が、今の絵付けになっています。

昔のみかわち焼の絵付けは線が長いと思います。これは、筆の持ち位置と腕の可動域の関係です。手首をつけて描くのか、肘を起点にして描くのかの違いがあります。長い線を描くためには可動域を広く取ります。ただこの場合は、動きのある線は描きやすいですが、定規で引くようなきれいな一直線は描けません。

細い線を描く際は、筆を走らせることが重要です。また、絵具の濃度が合っていること。祥瑞(しょんずい)系はある程度の遊びがあっても大丈夫ですが、細く描こうとすると、水分が多すぎるとにじんでしまいます。

絵具の濃度は、「薄く淡く」を意識しています。敢えて言葉で表すと、京焼はメリハリの効いた紺色。瀬戸焼は鮮やかな青。有田焼は落ち着いた藍。そして、みかわち焼は水色でしょうか。三川内で生まれ育っているので、水色というよりは私たちにとっての青ですが、その中でも濃い、薄いという感覚があります。窯元によって微妙に異なりますし、また描くものによっても使い分けていきます。

そして、筆を器の面に置く瞬間はやわらかくするのがみかわち焼では基本です。やわらかくというのは感覚的な言い方になりますが、対照的なものを挙げると京焼でしょうか。祥瑞(しょんずい)という文様がはっきりしているものを多く描くので、強く筆を置きます。みかわち焼はやわらかい。でもかすれてはいけません。慣れとはいえ、今でもとても難しい作業の瞬間です。

昔の唐子などの絵は、着物に骨描(こつが)きがなく、濃(だ)みだけで表現されていて立体感を出しているように見えます。これは灰釉が影響しています。線描きと濃(だ)みの濃淡の誤差が少なく、しかも釉薬で呉須(ごす)が動いてよく溶けているので、あのように見えているのでしょう。また、登り窯の灰が上からかぶっていくという焚き方がゆらぎを見せていると思います。これは私の目標の一つの姿であり、今後の課題です。

釉薬や焼きの部分ではなく、絵付けのところでより淡くそして自然なグラデーションを生んでいるのが、みかわち焼の特徴的な濃(だ)みの筆の使い方「つけ濃(だ)み」です。筆を横にして呉須(ごす)を流すように染み込ませていきます。塗るのではなく、筆から染み込ませる方法です。この部分は当然ながらみかわち焼の伝統に則っていますが、その後の「振る」という動作は嘉久正窯特有の少し違う点かもしれません。

生前母からは濃(だ)みの際に、「よく振ることが大切だ」と言われました。グラデーションをより自然に見えるようにするために、「振る」という作業が必要だと、母は体感していたのだと思います。

また、父から厳しく言われたのは、「艶がよいものを焼け」ということです。それは、芯までしっかり焼くということ。こだわっているのは、還元のかけ具合です。一酸化炭素の濃度をとことんまで攻めます。還元濃度が薄すぎると酸化してしまうので、その微妙なところを見極めるのが重要です。

そして、ほどよい重さのうつわ。みかわち焼は薄づくりです。お碗型だと歪みが出やすい。そのため、少し縁を反らせることで、歪み防止をしています。これが、ただ単に薄いうつわではない、長く使える縁になっています。

【みかわち焼のできるまで】

成形 - せいけい

磁器の原料となる粘土をよく練る。粘土の中にある空気を外に出すことと、ムラがないようにすることが目的
ロクロの上に粘土をのせ、回転しながら芯をとっていく
ある程度形ができたら、刺しベラを使い伸ばしていく
押しベラを使い、細部を拡げるなどして仕上げていく。そののち、うつわの高台部分を粘土から切り離す
乾燥したら、うつわを逆さにしてロクロの台にのせ、カンナを使って削る
薄く仕上げる際は、この段階で削りを多くしていく

素焼き - すやき

800~900度の温度で焼く

絵付け - えつけ

釉掛け - ゆうがけ

焼き上げるとガラスの皮膜になる、石と木灰が原料の釉薬を掛ける

本焼き - ほんやき

1270~1300度で焼き上げる

【主な作品の絵付け】

牡丹唐草 - ぼたんからくさ

中央と周りにある牡丹の輪郭を描く
牡丹の周りを埋めるように唐草の輪郭を描いていく
牡丹の葉の部分に濃(だ)みをほどこす
牡丹の花の部分に濃(だ)みを行い、さらに唐草の小さな葉の中にも濃(だ)みをほどこす
釉薬を掛けて本焼きした完成品

竹林 - ちくりん

骨描(こつが)きの終わったところ
左=濃(だ)みをほどこしたもの
右=釉薬を掛けて本焼きしたもの
焼成後は10%近く縮んでいることがわかる

唐子 - からこ

型紙から下絵を写し取った状態
骨描(こつが)きが終わったところ
濃(だ)みをほどこしたところ
釉薬を掛けて本焼きした完成品

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